story:Volume:00 「SOULTREEができるまで」を記してみようかと
2018.10.11
二子玉川の駅から歩いて15分。
初めて訪れた人が一瞬ぎょっとするほどオンボロなこの建物に出会ったのは2011年の冬だ。
そこから半年の長い工事期間を経て、どうにかこうにかオープンにこぎつけたのが2012年の5月28日。
あれからもう、7年近くが経った。
1年のほぼ毎日をこの建物の中で過ごし眺めているけれど、それでもいまだに「ボロっ」っとつぶやいてしまうほどにボロい、この愛すべき元廃墟。
暑かったり寒かったり、雨漏りに浸水にと東京にいながら大自然の脅威と真正面から向き合える好物件。
どこかを治すとどこかが壊れ、延々と続くメンテナンスと改装工事は、いつからか常連さんから「東京のサグラダ・ファミリア」と呼ばれるほどだ。
うまいこというな・・・
それでも、日々大小巻き起こるトラブルの数々はスタッフを含めた僕らを次第に強くし、上ったり下ったりしながら、その度にお店も少しずつ成長を繰り返してきた。
開店から6年以上が経ち、今では本当にたくさんの人が訪れてくれるお店になったけれど、最初の1、2年はそれはそれはひどいもんだった。
駅からは遠く、宣伝もなし。おまけに外観怪しすぎ・・・
お店の前まで来ても「ここ、本当にお店?」「入っても大丈夫?」そんな感じでお店の中をチラッとのぞいて、引き返して行く人がほとんどだった。
当然、売上は上がらず、金銭面もめちゃめちゃキツかった。
それでも、幸いなことにスタッフの仲間には恵まれていた。
このオンボロ廃墟を愛し、自分のお店のように考えてくれる仲間たちのおかげで、どうにか続けてこれた。
毎日のように酒を飲みながら語り、時には喧嘩をしながらも、いつも一緒に一所懸命に働いてくれるみんなが、このお店を大きく成長させた。
そしてなにより、そんな毎日が、とにかく楽しかった。
「モノ作りと共にあるお店」
それがこの空間を作る時に持った、最初のイメージだ。
6年という長い時間がかかったけれど、それは少しずつ形になり始めた。
お店もモノづくりも、どこまでいっても終わりはなくて、まだまだやるべきこと、やりたいことはたくさんあるけれど。
壊れた場所も、これから壊れそうなところも、山ほどあるけれど・・・
そんなトラブルに溢れた楽しい毎日を繰り返しながら、少しずつ成長していけたらいい。
そして、そんな毎日の中で、ここ数年は「どうやってこの場所を作ったんですか?」「僕もやってみたいんですけど、何に気をつけたらいいですか?」なんてことを聞かれることが本当に多くなった。
「どうやって?」「何に気をつける?」・・・・時間の許す限りメールや直接お話をすることもあるけれど、それでも物件を見つけるのに3年、工事に半年を費やしたこの建物の詳細を1、2時間で語るのは難しい。
でも、僕らが体験した数々のトラブルや失敗、そしてそれを乗り越えるために大工チームのみんなが絞り出したアイディアや技術は、今後、同じように興味を持って聞きに来てくれる人たちや「自分もやってみよう」と思う人たちにとって、少なからず役に立つのかな、と思い、これから少しずつこのブログの場を借りて、書いてみようと思う。
この愛すべきオンボロ廃墟に出会う前、そして出会ってから。
そしてオープンまでの怒涛の半年間を思い出せる限り。
オープンしてからも結局は怒涛のような毎日で、どこまで詳細に思い出せるか、自信はないんですがね・・・・
それでは、はじまりはじまり。