story:Volume:06 「物件探しの突破口」
2018.10.16
大した成果もないままにダラダラと続ける物件探しにもまぁまぁ嫌気がさしていた時、ふと昔のことを思い返していた。
25歳くらいから5、6年間だったか、最終的にはビルの取り壊しで立ち退きになってしまったけれど、高校からの幼馴染と渋谷センター街の片隅で「BAR SAMO(バー・セイモ)」という名の小さなBARをやっていた。
まだまだインターネットなんかも馴染みのない頃で、物件を探そうとひたすら渋谷駅周りの不動産屋を巡るも、理想の物件がなかなか見つからず同じように苦労した記憶がある。
その時、自分よりも必死に物件を探し、最終的に見つけた相方の言っていた言葉を思い出した。
「表に出てるのは残りカス。良い物件は表には出てこねぇ・・・」
この表現の善し悪しはさておき・・・相方の言っていた内容はこうだ。
条件が良い物件というのは誰もが「欲しがる(借りたがる)」物件だ。
だから不動産屋さんも、その情報をオープンにする前に、まずは優先的に「付き合いのある人」に紹介する。
だから、基本的に良い物件は表に出てくる前に誰かに借りられちゃうし、偶然借りられずに表に出たとしても、その物件を一番最初に自分が見つけるなんて、相当毎日のようにチェックしてないと難しい・・・
となると、じゃぁ、どうするのか?
それはもう、自分が不動屋さんにとって「付き合いのある人」になるしかないんだ・・・と。
かといって、25歳そこそこのプータローが「お得意様」になれるはずもないわけで、そうなるとできることはただ1つ。
「仲良くなること」・・・以上。
これだけだとあまりに・・・なんで、さらに付け加えると「物件見つかったら、マジで速攻で借りますよ!」という顔をする・・・・だって。
「突破口ってそんなんかい!」という声が聞こえてきそうだが・・・
ま、でも、これで本当に見つけてきましたからね、ヤツは・・・・
ま、でも、最終的にはこの方法でオンボロ鉄工所にたどり着いたしね、ボクも・・・
あながち間違いではないかと。
物件探しで行き詰まった方は、ぜひ一度お試しあれ。
具体的にいうと、ただ、やみくもに何件も不動産屋をまわり続けるり、ひとまずそのエリアの不動産屋を1周回り、その中で「ヤル気のある人」を見つける。
そして、その人のところに頻繁に通う。顔見知りになる。すると次第に「良い情報」を優先的に教えてくれるようになる。
ウェブを介したやり方も、基本的には同じだ。
まず、一通り検索しまくって、自分の希望する条件をある程度満たす物件を持っている不動産屋をかたっぱしから探す。
その全ての不動産屋さんに、メールや電話で、自分が希望する条件を伝える。(本気探している!という雰囲気を伝えるのも大事)
すると、その中のいくつかの不動産屋さんから、折り返し物件の情報がメールやファックスで送られてくる。
大抵の場合、最初に返ってきた情報の中に良い物件はなく、むしろ見当違い(不動産屋さんごめんなさい)な物件情報が送られてくることがほとんどだが、本当の勝負はここから。
まず、折り返し情報を送ってきてくれたことにしっかりと感謝を述べ、引き続き条件に合う物件情報があれば送ってくれるよう丁寧にお願いする。メールでも良いけれど、電話ならなお良し。
すると、次は(おそらく)その半分以下になるだろうけど、それでもヤル気のある不動産屋さんは引き続き情報を送ってくれる。
やり取りを繰り返すたびに次第に数は減っていくが、それでも何人かのヤル気のある人は続けて情報を送ってくれるようになる。
僕の場合は最終的には2、3人だったかな・・・・
そうやってやり取りを繰り返していくことで次第に不動産屋さんもこちらの希望をしっかりと「理解」してくれるようになるから、送ってくれる物件情報の「精度」は目に見えて上がった。
そして、少しずつ「まずは最初にご紹介しようと思って」という言葉と共に送られてくる物件情報が増えてきた。つまり、物件情報の「質」も上がった。
こうして次第に、理想に近い物件情報が増えていった。
それでもやっぱり「これだ!」と思える物件はなかなか見つからず、内見をするたびに「おしい!」っと思うものばかりだったけれど、「このままいけば、見つかるかもな」と思えるようになった。
物件探しに希望の光を見出したことで、今度は「その次」を考え始めていた。
ただ自分の頭の中にあった「憧れと妄想」を、今度はひとつひとつ「リアル」にしていく必要があった。