story:Volume:09 「みつけた相棒」
2018.10.21
こんなこと頼めるのは、アイツしかいないな・・・・
それが吉田智廣(ヨシダトモヒロ)という男。
みんなが「トモ」と呼んでいたツリーハウスビルダーでもあるひとりの大工。
当時兄貴のアユムが沖縄で始めた「島プロジェクト」で建築隊の棟梁を務めた男。
沖縄で山を崖を切り拓き、数々の建物を作る中でツリーハウスのお師匠や先輩たちと出会い、自らもその道へ進んだ。
僕も詳しくはないけれど、極端な言い方をすればツリーハウス作りに正確な図面は存在しないそうだ。
もちろん外装の細かいスケッチに始まり個々のパーツに関する細かい図面はあるけれど、なんせ、家を作るのは自然に生えている曲がりくねった「木の上」だ。
木の上に基礎となる土台を築く作業などはまさに「臨機応変」そのもの。
自分たちのイメージした「カタチ」を曲がりくねった木の上に、文字通り形にしていく作業。
それをこなせる技術と柔軟性を持つ大工のトモなら、アイツならきっと、俺の頭の中のイメージを形にしてくれるはず・・・・
そう思った。
アントニオ猪木の名言「元気があれば、なんでもできる」を地でいく明るい性格。
笑顔と気合いと根性。3拍子揃ったわかりやすい太陽のようなヤツ。
お互い格闘技が好きで年齢は違えど、なぜかウマがあった。
酒も好きで良く飲みながら将来やモノづくりのことを語ったりもした。
そして根っからのチャレンジ好きな性格は、このムチャブリとも言える今回の作戦の相棒としては申し分なかった。
そう思い、さっそくトモにそのことを相談すると、「うん、やるやる!」と期待通りの即答。
ふふふ・・・このあと大変な目に遭うとも知らず・・・
まだ物件もお金もないけれど、ひとまず、大工の相棒は決まった。
たった一人。でも、その存在は大きかった。
俄然力が湧いてくるのがわかる。
何かを始める時、スタートはいつも「ひとり」。そんなふうに思う。
でも、それを側で支えてくれる人の存在が現れた時に、そのパワーは何倍にもなる気がする。
矛盾しているようだけど、「ひとり」で始めるからこそ「ひとりじゃなくなる」。
そんなふうに思う。
「ひとりでもやる」と言い切れる想いの強さが、周りの人を動かすんだと思う。
だから、まずは「俺は一人でもやるぜ!」と威勢良く叫び、走り出す。
そのあと周りをキョロキョロ見回して「でも、誰か手伝ってくれたら嬉しいなぁ・・・・」っと小さな声で呟いてみる・・・
「ひとり」でもやるけれど、そりゃあ、誰かいた方が、みんないてくれた方が楽しいものね、やっぱりさ・・・
強がってはみても、ホントはいつもそんな感じなんだけど。
さて・・・
あとは、物件を決めて、お金をゲットするだけだ。
というか・・・・それが決まらんと話がすすまねぇ!
そして再び物件探しに力を注ぎつつ、今度はお金を手に入れる方法も同時に探し始めた。
色々なことが、いよいよ現実味を帯びて動き出した気がした。