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story:Volume:12 「1人の人。1冊の本」

2018.10.30

 

 

沖縄での「祭り」で気持ちにひと区切りつけて、いざ、新たなスタートを・・・・そう思ってはみるものの、簡単にヤル気は湧いてこなかった。

ヤル気は起こすものじゃなくて、湧いてくるもの。

湧き上がる気持ちがないと、なかなか身体も動かない。

「これじゃあ、イカン!」と思いながらも、なんとなく魂の抜けたような毎日を過ごしていたある日、1冊の本が目についた。

 

「宝はいつも足元に」

〜はじまりの気分は、怪人二十面相とパイレーツだった。原宿でドクロ旗をかかげ、巨万の富を手にした。英国からきた女神と出会い、世界を旅した。幾千、幾万のデザイン、アートを世に放った。プール付きのビルを東京の中心地につくった。名もなき道に名前もつけた。何もかもを成功の賜物として手にできたはずなのに、山崎眞行は何も自分の物にしなかった。何も欲せず、何も望まなかった。64歳。生死が危ぶまれた手術が成功し、町に生還したとき、はじめて自分の人生の真実を見ることになった。すべては自分の足元にあったことを知った。―山崎眞行、初の自叙伝〜

 

帯にはそんな文字が。

 

森永博志さんが綴った「クリームソーダ」の山崎眞行さんの自叙伝だ。

そういえば、ちょっと前に森永さんが送ってくれたっけ・・・

なんだかんだとドタバタした日々で、読むのをすっかり忘れてた。

 

アニキとともに出版社を立ち上げてからというもの、「本を買って読む」ということが本当に少なくなっていた。

毎日読むのは本を作るための「原稿」で、それだけでも相当な量だ。

文章を読むのはもともと好きな方なんだが、それでもなかなかに満腹の日々。

買って読むのはもっぱら漫画や雑誌が多かった。

 

それでもなぜか、なんとなく・・・その時は本を手にとって読み始めた。

山崎さんと相棒のバンちゃん(伴晋作さん)との出会いやビビアンとの恋、北海道から上京して、原宿にビルを建てるまでに至るストーリー・・・

何時間かかったのか忘れてしまったけれど、とにかく一気に読んだ。何かに取り憑かれたように一気に読んだ。

そして、なぜか・・・本当に理由はうまく説明できないのだけれど・・・完全に立ち直った。

溢れんばかりの「気持ち」が胸に湧き上がってきた。

「よし、やるぞ!」

そうつぶやいて、長い間本当に重かった腰を、ようやく上げた。

 

1人の人に、1冊の本に、救われた瞬間だった。

 

森永博志さん。

クリームソーダの山崎さんやGoro’sのゴローさんをはじめ、数々のレジェンドと呼ばれる人たちと同時代を生き、そのカルチャーを世の中に発信し続けた(僕の中では)最高の編集者でありアーティスト。

実際には弟子でもなんでもないんだが、僕が勝手に憧れ、後ろにくっついて追いかけまわしてる「心のお師匠」。

僕がデザインをかじり始め、一番最初に「こんな本を作れたらいいな」と思った本が、森永さんの本だった。

SOULTREEを始める前に、クリームソーダの山崎さんに話を聞かせてもらう機会を作ってくれたのも森永さんだった。

あの時聞いた色々な話は、SOULTREEを作る上で本当に大きな影響を受けた。

自分のデザインに行き詰まり「もうやめようかな」と思った時に励ましてくれたのも森永さんだった。

そして、今回も・・・

 

本人は全く、そんなことは知りもしないと思うけど・・・・笑

なぜか、僕が本当に必要な時に、必要なモノを、必要な言葉をくれる、不思議なお師匠。

突然ヒョイっと現れて、ヒョイっと帰って行く、

いつでも楽しそうに何かを作り、楽しそうにその話をして、

それがいつでもぶっ飛んでいて、それでいてカッコよくて・・・・

 

僕の中の「モノ作り」の大部分は森永さんからもらったものだ。

 

1人の人との出会いが、

1冊の本との出会いが、

人生を変える。

 

それは決して大げさなことじゃない。

 

 

 

 

「ゴールドラッシュ」

「宝はいつも足元に」

森永さんが書いたこの2冊の本は僕の一生のバイブル。

 

おそらく2冊とも絶版で、中古でしか手に入らないかもしれないけど・・・・

絶対に読んで損はない2冊。

 

あなたの人生を変えるかはわからないけれど・・・・ぜひ読んでみてください。

 

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