story:Volume:13 「理想の物件を発見」
2018.11.3
「気持ち」を取り戻し、再び物件探しに力を入れ始めるとすぐに、理想の物件に出会った。
一棟貸しのビル。
鉄筋コンクリート造りの4階建。
ワンフロアが85平米あり家賃は50万円代。もう少し交渉の余地はありそう・・・
最寄駅は上野駅。そこから徒歩約10分といったところか。もちろん改装「可」だ。
「上野か・・・」
アメ横? 動物園? 博物館?・・・
上野という場所にあまり縁がなく過ごしてきた僕にとっては「どんな街なのか?」というのがさっぱり見当がつかない。
お店をやるだけならまだしも、いや、お店をやるだけだって、やはり、その土地が「好きかどうか?」はすごく重要なポイントだと思う。
その場所に住むことも、働きに行くことも、その土地の人と交流することも、1日の大半を過ごすその場所が好きか嫌いかは、一見目には見えないことかもしれないけど、精神的な部分を大きく左右する。
なんとなく毎日が「気持ち良いか?」「気持ち良くないか?」「ご機嫌か?」「不機嫌か?」はあらゆる発想や人間関係にも大きく影響すると思う。
だから1日の多くの時間を過ごすその場所は「気持ちの良い場所/好きな場所」の方がいい。
じゃぁ、その「好き/嫌い」を何で判断するかっていうと、僕の場合はズバリ・・・・なんとなく、だ。
なんて言うと誤解されてしまうので別の言葉でいうとその街に流れる「空気感」が自分に合うか? 合わないか? だ。
だって「気持ち良い」「気持ち悪い」は感覚的なものだから・・・・
だって「気持ち良い」も「気持ち悪い」も全部、他の人が感じることじゃなく、自分だけしかわからない、自分だけの感覚的なものだから・・・・
だから、結局は、自分が「好き」と思えれば、住みたい街ランキングが何位だろうが、ね。
ま、でも、住みたい街ランキングが高い街は、やっぱり、素敵な街が多いけれども・・・ね。
その街の本当のところは、実際に働いたり住んでみないとわからないと思うけど、その街を歩き、流れる空気感を肌で感じてみると「感覚的」に好きか? 嫌いか?というのは感じることができると思う。
もちろん、「駅から近い」とか「コンビニがある」とか「ショッピングモールがある」とか「大きな公園がある」とか、目に見える判断材料もたくさんあるけれど、それも含めて、結局は「空気感」が好きか? 嫌いか?という部分が、特にその土地で「暮らす」場合は大事だと思う。
街に繰り出す前に1つ個人的な要注意ポイントを挙げるとするなら、それは・・・
「よく晴れた気持ちの良い日に出掛けましょう」ってことだ。
くだらないかもしれないが、今まで散々物件を見てきた感想でいうと、これは結構大事な気がするんだよな・・・
まぁ、中には「曇りの日が好き!」とか「雨の日サイコ〜!」なんて人もいると思うので、あくまで自分が「気持ちいい!」って思える日ということで。
同じ街や物件を見ても、晴れて気持ち良い日に見るのと、どんより曇った薄暗い日に見るのとでは、そこから受ける印象は全く違うのだ。
よく知らない街ならなおさらだ。
不思議なもんで、その街や物件を見た「第一印象」っていうのは、2回目以降がどんな天気だろうが僕の中ではあまり変わることがなかった。
だからなるべく、初めて見る物件は「気持ちの良い日」に、を心がけていた。
もちろん、天気なんぞに左右されず冷静に分析できる人は問題ないし、
あえて気持ち良くない日を選んで、その物件が「最高!」って思えたら、それは本当に「アタリ」かもしれないけど・・・
ちょいと話が横道に逸れてしまったが、そんな心持ちでよく晴れた気持ちの良い日に上野の街を歩いてみた。
そして、すごく気持ちの良い街だった。
正直、最初にイメージしていた上野の街とは全然違っていた。
「上野、アリかもな・・・」
物件的には申し分ないし、街も肌に合いそうだ。
そして何より、トモの最後の現場になった「toco.」からほんの数分程度の場所だった。
全くの偶然だったけど、何か運命的なものを感じた。
今思えば、それも大きかったのかな・・・
すぐに不動産屋さんに連絡をし「仮押さえ」の申し込みを入れ、家賃や保証金の交渉に入った。
まぁ、今ここでこうして、この文章を書いているということは、言うまでもなくこの物件も・・・・なんですがね。