story:Volume:19 「転がる交渉劇」
2018.11.29
「家賃47万円/敷金10ヶ月/礼金1ヶ月/共益費ナシ」
これが物件案内に記載されていた条件だ。
この条件を高いと感じるか安いと感じるかは人により千差万別だ。
もちろんエリアや広さなどあらゆる条件によって変わってくると思うけど、この時、僕は「安い」と感じた。
2〜3年にわたり物件を探し続けて、エリア、場所、広さ、をみればある程度の「相場」の感覚はつかめてくる。
その「相場の感覚」から見れば、駅から15分とはいえ二子玉川でこの広さを持つこの物件は、僕の中では格段に安く感じる物件だった。
1つ物件案内を見る際に注意しないといけない点がある。
物件案内には書いていないが、通常(もちろん様々な例外はあるが)「敷金(または保証金)と礼金」に加え、プラス「家賃3ヶ月分」の金額がもれなくオマケでついてくる。
上記の金額にプラスして、不動作屋さんへの「仲介手数料」と、家賃未払いなどへの保険としてほぼ強制的に加入させられる保証会社への「保証料」の支払いだ。
それが通常、それぞれ家賃の1ヶ月分。つまり、プラス家賃2ヶ月分。これに契約時には最初の1ヶ月分の家賃も同時に支払うことになるから、結局プラス3ヶ月分。
敷金(または保証金)10ヶ月+礼金1ヶ月+仲介手数料1ヶ月+保証料1ヶ月+初回家賃1ヶ月×47万円。
14ヶ月×47万円=658万円。
もらった物件案内通りの条件で借りたら、契約時におおよそこれくらいのお金が必要ってわけだ。
とはいえ、バカ正直にこの物件案内通りの金額で借りてしまうのもナンセンス。
大人気でヒクテアマタの物件であればやむを得ない場合もあるが、なかなか借り手がつかない物件であれば交渉次第では「半額に」なんてこともよくある話だ。
ただし、無茶な交渉やとんでもなく安い金額を提示してしまうことで大家さんからの「反感」を買ってしまうと、交渉自体がポシャることもあるので注意が必要だ。
自分の経験だけでの話だが、交渉前に1つ調べておくと良い思うのが、
「その物件が空いてからどれくらいの時間が経っているか?」だ。
もちろん、物件が空いてからの時間が長ければ長いほど交渉には有利。
それは単純に、大家さんが「早く借り手が見つかってほしい」から。多少値段を下げてでも借り手を見つけたいからだ。
逆に時間が経っていない場合、大家さんもまだ「他にもすぐに借り手が見つかるだろう」と思っていることが多く、大幅に値下げしてまで貸そうとは思わないケースが多い。
「その物件が空いてからどれくらいの時間が経っているか?」
それを調べるには不動産屋さんに聞くか、わからなければ近所の人に聞くのが手っ取り早い。
さて、この物件は一体どれくらい経ってるのか・・・
さっそくご近所さんの数人に声をかけて聞き込みを開始。
見た感じ、相当時間が経っていそうな気もするが・・・
近所の人もそれほどハッキリは覚えていない様子だったが、意外なことにこの物件が空いたのは「最近なのでは?」という人が多かった。
あらら、残念・・・
それほど大幅な値下げはどうやら無理そうだぞ、と判断し、それを踏まえた上で、まずは1回目の「様子見」的なオファーを出してみる。
もうここからは、どっちかというと「心理戦」だ。
不動産屋さんを間に挟んだ大家さんとの心理ゲーム・・・
さて、どこまで値段を下げられるのか・・・・?
まずは僕から「家賃47万円→35万円」「保証金10ヶ月→3ヶ月」「礼金1ヶ月はそのまま」で大家さんに投げてみた。
要は「これで借りられたら超ラッキ〜、マジで速攻借りちゃうよ!」って思える金額を投げてみる。
その時は必ず「この金額なら、即借ります」という一文を付け加えることを忘れない。
この一文を付け加えると、むこうも本気で話してくる。これは不動産屋さんの時と一緒だ。
これは僕の感覚だけど、大家さんは「保証金」を下げるよりも「家賃」を下げることを嫌うことが多い。
まぁ、保証金ていうのは、言ってみれば「預かり金」みたいなもん(ま、契約内容にもよるけど)だから、それよりは毎月の家賃を大事にする大家さんの気持ちも当然かもしれないけど。
だから「家賃はほどほどに」「保証金をガッツリ」っていうのが現実的には交渉しやすいと思う。
さて、大家さんはどう出る・・・?
そして、数日後に、大家さんからの回答が。
「家賃44万円(オファー35万円)」「保証金6ヶ月(オファー3ヶ月)」「礼金1ヶ月(そのまま)」。
うん、やっぱり、結構「無難な数字」が返ってきた。
さて、ここからさらに値段を交渉するか?
それとも、そのまま借りるか? もしくは「やっぱりいいや」と諦めるか?
その判断は返答してきた時の「大家さんのテンション」に注目。
「これくらいでお願いできませんか?」だったら、もうちょい交渉の余地ありだ。
「これ以上の値引きは無理です。限界です。」と、きっぱり言って来る場合は、これ以上の交渉は難航することが多い。
さて、どうしようか・・・?
もう一声なんだけどな・・・・