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story:Volume:22 「お金と兄と弟と」

2018.12.15

 

 

さて契約書にハンコを押して、いざ!

 

いよいよ本題の物件改造に入る前に・・・・お金・・・・どうしたの?

というお話。

 

この物件を見つけ、不動産屋さんに「申し込み」を入れるまで、僕の手元にはお金がなかった。

もちろん生活費と呼ばれるお金は普通に稼ぎ、持っていたけど、基本的にあまり「貯金」というのが得意なほうではない。

それではいけない・・・と最近は強く思うのですが・・・・

 

とはいえ、物件探しをここまでガチでしてるからには全くの「ノープラン」というわけでもなかった。

ノープランではなないとはいえ、選択肢はほぼ1択だ。ズバリ、融資。

20歳で初めて仲間とお店を作った時は、必要なお金(6人で始めて1人100万円集めた)は全て友達から、時には散髪代まで奪い取って集めたが、さすがにこの時37歳、そろそろそういうのは控えたい(やらないとは言わない・・・)というのが正直なところ。

しかも今回は物件の規模が違うから金額の桁も違う。

融資の希望金額は「2000万円」。個人的にはまぁまぁでかい数字だ。普通にちょっとビビる。

 

でも、そもそもなぜ2000万円なのか?

もちろん、物件の取得費に内外装費に、照明や家具、電気や水道の配管に、空調、飲食店をオープンするための機材や備品に食材やお酒、そしてもちろん大工さん達に払う人件費などなど・・・・・ざっと計算をしてはみた。

いわゆる「見積もり」ってやつだ。これがないと融資の申請もできないので「表面上」作ってはいた。

でも、ちょっと待ってよ・・・

見積もりを作ろうとすればするほど、細かい金額を算出しようとすればするほど、「何にいくらかかるのか?」がほとんどわからないことに気づかされる。

もちろん、ある程度明確に数字が出せる項目はあるが、そんなもの、全体からすればほんの僅かだ。

だってそもそも・・・・この時点で、この物件内に「自宅」と「工房」と「飲食店」を作るために「何をするのか? どんな工事をするのか?」が全く分かっていないのだから・・・

さすがにこれではまずいと思い、棟梁のヨモさん&レイちゃんに全体の見積もりを作ってもらったが、今考えると全体のざっくりとしたイメージだけで、細かい詳細も伝えず(というか伝えるほど明確なイメージがなかった)見積もりを作ってくれってのも、酷な話だ。その節はご迷惑をおかけしました・・・・

 

そして、二人からもらった見積もりをもとに、さらにお店の備品など細かい数字を算出しようと試みてはみるものの・・・・

「え〜っと、スプーンとフォークと、ナイフが・・・・あ、デザート用と、コーヒー用のスプーンと・・・何本?」

なんて考え始めると、飲食店だけで考えても一体どれだけの量の「備品」があるんだよ・・・・

そのひとつひとつの値段を調べ、個数や本数を決め、合計金額を出して・・・・ハイ、無理!

とりあえず、ここはざっくり10万でいいや。

ここらへんは30万で・・・・

などなど、結局は面倒臭くなって全てがざっくりとした見積もりが出来上がった。

何から何まで全てがざっくりなので、すでに見積もりと呼べるのかどうかも怪しいが、その総額は優に3000万円を超えていた。

おぉ・・・・まじか・・・・激ヤバじゃん、これ・・・・

 

P.S.

え〜、この経験を踏まえ、今後、自分でもお店をやってみよう!と考える方には「正確な見積もりと計画」を強くオススメします。

 

とはいえ、融資の申請は2000万円だ。

それは、その人の経済状態や実績、社会的信用から判断される「融資できる金額の上限」があるからだ。

簡単にいえば「おまえ、そんな金額借りても返せないっしょ?」という金額はそもそも貸してもらえないのだ。

借りれるもんなら3000万円借りてしまいたいところなんだが、最終的に融資の申請が通る、通らないの前に、そもそも「申請」ができない。

3000万円の見積もりに対して2000万円の融資というのはなんとも不安でいっぱいではあるが、ここは逆に見積もりのあまりの「ざっくり感」がモノをいい「ま、とにかく物件借りちまって、あとは工事をしながら考えよう」と、得意の楽観主義で乗り切ることにした。ま、考えてもどうせわからないことだらけだし、ここまできたら前進あるのみ。大概のことは始めちまえばなんとかなるもんだ。

 

ひとまず、2000万円、借りてみよう!

 

個人的には20代のうちに2度、700万円の融資を受けて完済した経験もあったので、申請にはそれほど手間取ることもなかった。

 

が・・・・

 

この申請は、見事に通らなかったのだ・・・・

 

・・・オイオイ

「ひとまず」とか言って落ちてんじゃん・・・・?

「とりあえず、生ビール」的な気持ちでいたのに、これって結構、マジでピンチな状況なのでは・・・・?

 

ざわざわざわっと、腹の奥の方から恐怖感がこみ上げてくる。

ヤベ〜ぞ、これ・・・・

 

さて、どうしよう・・・・?

 

自分の「社会的信用」の低さに多少のショックは隠せなかったが、ま、元々そんな信用されるようなことをしてこなかったんだからしょうがない。

今はこのピンチをどう乗り切るかを考えね〜と・・・・

 

 

全ては自分で勝手に陥った自業自得の大ピンチばかりだったけど、20〜30代で数々の大ピンチに遭遇してきた経験から、少しだけ分かったことがある。

 

それは、ピンチの時は「パニクったら終わり」ということだ。

ヤバイ時ほどパニクったらダメだ。

何かヤバイ状況に陥った時、まずは「目に見えない圧倒的な不安感」に包まれて、一瞬パニクりそうになる。それは誰でも同じだと思う。

でもここで、「待て待て、パニクるなよ。まずは冷静になれ」と、一度自分を落ち着けられるかどうかがポイントだ。

これはもうクセづけなんだと思う。

とにかく不安な気持ちに包まれたら、まずは「まぁまぁ、一度落ち着けよ」と自分に言い聞かす。

そして何度か深呼吸。

ファミレスでもカフェで、自分が「落ち着ける場所」に行き、

おもむろにカバンからノートを取り出し、

ノートに今の「ヤバい状況」を書いてみる。

タイトルは「うわ〜、マジでヤバいっすわ、今の状況」だ。

あんまり真面目にシリアスに書きすぎると「書類」のようになって気が滅入るだけなので、どうせ自分の心の会話だから、頭の中に浮かんだ言葉をそのまま書く。

「うわぁ〜マジかぁ〜!」とか「この問題がぶっちぎりに激ヤバ!→」など、自分の言葉で、ちょっとふざけたくらいが笑いがあってちょうど良い。

そして、何が「ヤバいのか?」をなるべく細かく箇条書きにしてみる。

それを全部書き出した時点で「目に見えない漠然とした不安感」が全て「目に見える形」に変わる。まずはこの時点でパニックとはおさらばだ。

もちろん、状況のヤバさは変わらなくても、「漠然と目に見えない不安感」は実際のヤバさを10倍くらい大きなモノに感じさせる。恐怖感を煽る。

だから、この差は大きい。

そしてヤバい状況がハッキリとしたら、次にもうひとつ大きな文字で書き込む。

「さて・・・ で? どうしたらいい?」

次に考えるのは「解決策」だ。

これに関しては、経験上、冷静に考えれば解決策は必ずある。

ただし、まずはそれを「やりたい、やりたくない」という判断を抜きにして冷静に状況だけを分析し、解決策を書き出してみる。

そうすると、必ずいくつかの解決策は見つかる。

そして最後に、そのノートに書いた「解決策」を眺め、それを「やる?」「やらない?」と自分の心に聞いてみる。

「問題」を「解決」するわけだから、ほとんどの場合、楽しいことや素敵なことはリストの中に一つも見当たらない。

「それキツ!」と思うことや「いや、さすがにそれは・・・」と思うことだらけだと思う。

でも、どんな問題にも必ず解決策はあって、

それを「やるか?」「やらないか?」の判断は、要は自分がそれを「やりたいか?」「やりたくないか?」だけなんだと思う。

「そこまでしてやりたくない」と思うことは、単純に、そこまでやりたいことではないんだと思う。その場合、そこでやめる。

「そこまでもしてもやりたい」と思うことは、そのまま、そこまでしてもやりたいことなんだと思う。だったら、あとはそれをやるだけ。ミッションスタートだ。

目の前に起きるさまざまな「トラブルや問題」は、その解決策を書き出して、最後に「やる? or やらない?」のハカリに乗せて、自分に聞いてみるとわかりやすい。

全てを心のハカリに乗せて、そうやってひとつひとつを判断していくと、「自分がやりたい事」と「やりたくない事」、「すごいやりたい事」と「ちょっとだけやりたい事」がおのずとハッキリしてくる。

 

散々探し回って、ようやく物件を見つけた。

でも、融資に落ちた。

金・・・・どうする?

金がなければ、ここで終わりだ。

それはイヤだ。絶対やりたい。

じゃあ、どうすれば?

友達に借りる? いや、さすがにその金額は集まらなねぇかな・・・?

カードローン? キャッシング? いやいや、それでは全然足りね〜

うむ・・・・まだ何かあるはず・・・

 

深夜のデニーズで、ひたすら解決策を探しペンを走らせる。

 

・・・・・そして、数時間後。

最後に思い浮かんだのが「アニキ」の顔だった。

突破口が見えた。

 

 

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