story:Volume:24 「作る前にやることは・・・?」
2019.1.7
ついに廃墟への鍵を手にして、いざ!
っと言いたいところだけど、まず、はじめにやるべきことがあった。
作る前に、まずは、壊す。
そう、「解体」の作業だ。
工場内の化け物のように大きな機械たちは不動産屋さんが片付けてくれていたから、残る大物は2階部分。
70平米ほどの「事務所スペース」の解体作業だ。
このスペースに自分の住処を作る予定でもあるし、なにより、融資を受けれたといってもお金に余裕なんてない。
できそうなことはなるべく自分でやって、少しでもお金を節約しないと・・・・
まぁ、ざっと見ても、オンボロの柱や薄いベニヤ板で作った内装だ。壁や天井を壊すくらいなら、ぶっちゃけ一人でもなんとかなるんじゃね?
ひとまず、ホームセンターで解体用の「バール」と呼ばれる釘抜きのお化けみたいなやつを一本購入して・・・・いっちょやってみますか!
つま先に鉄板の入ったブーツを履いて、つなぎに身を包み、頭には白いタオルとマスク。
うん、俺のイメージする「ザ・解体屋さん」。
バールを肩に担ぐとビジュアルだけは完璧に仕上がった。
オンボロの鉄階段をドカドカと勇ましく登り、扉を開けて2階へ足をふみ入れる。
うっしゃ! やるぜ!
そしてさっそく肩に担いだバールを力強く・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・ど、どこに振り下ろす?
70平米の事務所スペースに立ち尽くしてしばし沈黙。
ねぇねぇ、これ、どこから壊したらいいのかな?
お〜い・・・・・・
さっきまでの勇ましさはどこへやら、部屋の中をキョロキョロと挙動不審に歩き回る無力なアラフォー。
と、とりあえず、ここらへんからいってみるか・・・?
明らかにここは壊しても問題ないであろうと思われる細いドアの枠などを試しに1つ壊しにかかる。
おりゃ〜・・・・・パキッ ポキッ!
壊れるというか、ちょっとした破片が取れただけ・・・
もうこれ、バールじゃなくて、釘抜きでよくね?っというレベルの破片がひとつポロッと足元に転がった。
・・・・・・・・・・
壊しても問題ないであろうところだけをビクビクと壊してる時点で、もうすでに敗北の匂いはプンプンと漂っていたが、とりあえず鼻をつまんで2時間ほど壊したり剥がしたり。
2時間ほど汗だくに作業して、自力で「解体」したゴミの山、いや、ゴミの小山を片付けるとゴミ袋3、4袋・・・・コスパ悪すぎ・・・・
これ、このままだったらあと1ヶ月以上はかかるな・・・・・ふふ・・・・
2時間前と変わらぬ風景の事務所スペースで一人ほくそ笑んでみる。
だめだな、こりゃ・・・・
あまりの圧倒的敗北感のおかげで気持ちよく諦めもついた。
すぐに携帯電話を取り出し、その場で解体やさんを探し始める。
とはいえ、全く知らない解体屋さんに依頼するといったいくらかかるかわからないし、そもそも相場もわからない。なるべくなら友達や知り合いで誰かいないだろうか・・・。
思い当たる知り合いに電話をかけまくってみる。
そして幸いにも知り合いに経験者が二人。強力な助っ人をゲットできた。
ふぅ・・・・ラッキー・・・
いやぁ〜、解体、甘くないっすわ・・・
解体屋さん、本当にごめんなさい・・・
完全にナメてました・・・・・
深く反省しております・・・・