Volume:25 「作ること」と「壊すこと」
今日はよろしくお願いします!
強力な助っ人2人の後にくっついて再び戦場へ向かう。
お手伝いは僕とカフェの店長になる幼馴染の「ハルキ」の二人。
う〜ん、ジャイアンの横にくっついて歩くスネオな気分・・・心強さハンパね〜っす。
さて、やりますかぁ〜!
「解体作業」っていうと、みんなはどんなイメージがあるんだろう?
バールやでっかいハンマーでイカツイ男たちがドッカンバッキン力任せに壊しまくる荒々しい、ザ・男の作業・・・
ま、僕の中のイメージはまさにそんな。
ところがどっこい、めっちゃ奥深いっす解体作業。
「解体する」ってことは「作る」ことの逆回転作業だった。
要は「どうやって作られたか?」が分からないと、うまいこと解体できないってことだ。
ただ闇雲にあちこちをぶっ叩いていても、時間は過ぎていくばかり。同じところを壊すにも、壊すべき「急所」があって、壊すべき「順番」がある。「急所」がわからないと、元々壊れにくいように作っているから、ほんと、いくらぶっ叩いてもなかなか壊れてくれない(まさにオレ)。
作れない人は壊せない・・・・
自分が壊せなかった理由が、ハッキリと分かった気がした。
そして、圧倒的なスピードとパワーで的確に「分解」していくプロの作業を目の当たりにして、「解体屋さん」に対するイメージが180度変わった。
それでも「俺は自分でやっちゃうぜ!」というオバカサンのために、さらに付け加えるとすれば・・・
「壊す順番」は特に大事だ。これホント、気をつけましょうね。
例えば天井。天井は柱に支えられていて、調子こいて柱を片っ端から壊したりなんかすると、ドササササ〜ッ!と、ホコリと共に天井が一気に落ちてくるなんていう大事故にもつながるから超デンジャラス!
さらに築年数が長いところは溜まってるホコリの量がハンパないし、さらには「なにこれ、図鑑でも見たことね〜ぞ・・・新種じゃね?」的なチョ〜気持ち悪い虫も出てきたりするので、怪我を負うだけじゃなく精神的なダメージも負うリスクが大!
・・・・なのでくれぐれもご注意を。
いやぁ、あらためて、ほんと、解体をなめてた。
ボロボロの2階の部屋をみて、最初「オレ一人でもできるかな」なんて、思ってしまった自分が恥ずかしい。
プロ二人の、豪快で緻密なテキパキ作業を横でみながら「ほんと、すんませんでした! オレが間違ってました! ありがとうございます!」と、少なくとも30回は心の中で叫んでしまった。
自分一人でやってたら、終わるまでにホント2ヶ月くらいはかかりそうだった(1ヶ月の入院含む)。
にしても・・・・
ここはいったい、何年間放置されていたんだろう・・・?
天井を壊した時のホコリの量なんて、もう前が見えなくなるくらいで、開いている窓という窓から「爆発?」っていうくらいの勢いで吹き出してた。僕やハルキなんて、お手伝いだからまだましな方なのに、それでも頭お先から足の先まで真っ黒で、二日間は鼻水が黒かったほどだ・・・
信じられないくらいのホコリ。カ、カメラが壊れちゃう・・・・
一日ではさすがに全部は終わらなくて、それでも素人では難しいところや危ないところはなんとか終わらせようと、日が暮れて真っ暗になる直前まで頑張ってくれた助っ人のお二人に心からの感謝を伝えて、長かった1日の作業を終えた。
劇的にスッキリとした事務所スペース。
まさにエベレスト級に積み上がったゴミの山を見て、プロのすごさを改めて実感。
まぁ、なんだかんだといつも失敗ばかりだが、まずは一度「自分で体験」してみることで「プロ」と呼ばれる人たちとの違いや凄さがより際立って見えたりもする。
表面的には無駄な時間や労力を使ってばかりだけれど、内面的には、そこから得るものは多い。
たった1日の作業だけれど、本当にいろんなことを教われた1日だった。
大工さんと解体屋さん。
作る人と壊す人。
全く逆の人たちのようでいて、実は同じような。
そんなことを思うようになってからか、はたまたその後の多くのモノ作りを通してかわからないけれど、
いつからか僕は、見たモノやデザインを頭の中で一度「分解」し「逆再生」するようになった。
並べられている家具や雑誌で見るデザイン、時にはアンティークやビンテージ、汚れた壁や錆び付いた鉄や古材や・・・
分解してみることで、そのモノが「どのような工程で、どのような順序で作られたのか?」が少し理解できるようになった。そしてそれぞれのパーツが「どんな役割を持っているのか?」が理解できるようになってきた。
時間を逆再生することで、どのような環境で使われ、どのように変化したのかを想像できるようになった。それは「エイジング」と呼ばれるような、あえてダメージなどの加工を施して古く見せる技術を使う時にはすごく役に立った。
まぁ、この物件に関しては、もともと古いので、その技術は必要なかったけれど・・・
さて、残す解体作業はほんの少し。
1日見させてもらって、いろんなやり方も教わったし、もう数日前のオドオドしてた挙動不審の俺じゃね〜ぜ。
明日1日で、サクっと片付けていきますよ〜。