%e7%b2%be%e7%a5%9e%e3%81%a8%e6%99%82%e3%81%ae%e9%83%a8%e5%b1%8b:Volume:02 「好きなことを仕事にする」のはどうなんだ?
2019.11.26
「好きなことを仕事にしないほうがいい」という人がいる。
「好きなことを仕事にした方がいい」という人もいる。
これって、どっちなんでしょうね?
僕自身は、どちらかというと後者。
グラフィックデザインを含む「ものづくり」が仕事であり、好きなことでもある。
でも、同じ「好き」でも、仕事にしたくないものもある。
大好きな趣味の一つにつ釣りがあるけれど、釣りを仕事にしたい(できたとしても)と思ったことは一度もない。
それは「お金を稼ぐため」というという思考が釣りの中に入ってくると、なんだかつまらなくなりそうだから。
同じ「好きなこと」でも、「仕事にしても楽しめること」と「仕事にすると楽しめなくなるもの」が自分の中でも明確に分かれている。
どちらが上でも下でもなく、それをやっている最中はどちらも同じように本気に、夢中になってやっている気がするけれど、それでも突き詰めれば、その2つの間には「仕事」と「趣味」という明確な意識の差がある気はする。
釣りは「趣味」。大好きなもの。
モノ作りは「仕事」。もちろん大好きだけれど、どちらかというと「空気」みたいなもの。当たり前にあるもの。ないと、溺れて死んでしまうようなもの・・・
「趣味」と「仕事」。
僕の中で、この2つの間にはそんな差がある。
だから、全てを一括りにして「好きなことを仕事にしよう」とは言えないけれど、もし、自分の好きなことが「空気」のような存在(なくてはならない存在)に感じるのなら、それを仕事にすることはすごく「お得」なことだと思う。
お得だというのは変か・・・人生は「楽しくなる」と思う。
それはすごく単純な理由。
20歳をすぎて、大人になって、本格的に仕事をし始めてから、いわゆる定年と呼ばれる引退の時を迎えるまで、少なくとも40〜50年。
人の寿命はそれぞれだけど、それでも睡眠時間を除けば人生の半分からそれ以上の時間、人は「仕事」をしながら生きていく。
この膨大な時間を「つまんね」と思って生きるか、それとも「おもしれ〜」と思って生きるか。
この差がとてつもなく大きく感じるから。
「好きなことを仕事にして生きていくのは大変でしょ」ってよく言われるけれど、うん、確かに、大変なこともたくさんある。
特に「フリー」という形態の仕事になれば、安定した収入もなければ、社会保険もボーナスも退職金もないし・・・いわゆるなんの保証もないわけで。
でも、「好きでもない仕事」をしている人は大変じゃないのか?
いろんな人たちの話を聞いていると、「好きではない仕事」をしている人も、僕から見れば同じように「大変そう」に見えるのです。
「つまんね」と思って過ごす仕事中の時間も、好きでもない人間と付き合い続ける時間も、その行き帰りの時間も、それを「忘れよう」と思う休日の時間も・・・
好きなこと、好きでもないこと、どちらの仕事を選んでも、大変さの「合計点」は、結局「同じ」な気がするんですよね。
「保証はあるけどつまらない仕事」と「保証はないけど楽しい仕事」。
どちらの方が大変かと言われれば、僕の中では、「どちらも同じ」。どっちも大変。
「お金の安定(安心)」か「精神の安定(充実感)」か。どちらをとるのか?
ただ、それだけのような・・・・
もちろん、その両方が取れる仕事も中にはあるんだろうけど。
睡眠時間を除けば、ざっとこの先、人生の半分以上を過ごす「仕事」という膨大な時間をどう過ごすか?
「ツマンネ」と思いながら自分の大切な心を閉ざして「やり過ごす時間」。もしこの時間が人生の半分以上もあるのだとしたら・・・僕にとっては、そっちの方が「お金がない」ことよりも、はるかに怖いんです。
この先何年あるのか、わからないけれど、僕の中で「寿命」というのは、何年「生存したか」ということではなく、生きている間、どれだけ多くの時間を、喜怒哀楽を感じ、実感を持って、「過ごせたか、生きれたのか」というものだから。
どうせ同じだけ大変なら・・・「好きなこと」を仕事にしたい。
色々考えた挙句、僕の中ではそういう結論に達したわけです。