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%e7%b2%be%e7%a5%9e%e3%81%a8%e6%99%82%e3%81%ae%e9%83%a8%e5%b1%8b:節目を迎え、人生を振り返ってみる。

2022.6.10

 
 
 
5月28日をもちまして、SOULTREEも10周年を迎えることができました。
長きにわたって、お店を支え続けてくれた皆さんに、心から感謝します。
 
9年、10年、11年・・・
ただの数字、されど数字。
たった1年違うだけですが、気持ちの面はやはり大きく違います。
やはり「10年」というのは特別に感じました。
 
このオンボロ物件との出会い。
辛く楽しかった半年間の工事。
なんとかオープンに漕ぎ着けるも、全然お客さんが来ず、苦しかった数年間。
スタッフたちと毎日のように酒を飲みながら、お店のこと、人生のこと、夢や将来のことを語り合ったり、時には喧嘩もしたけれど・・・
カウンターに座り、軽くお酒を飲みながら、本当に多くのことを思い出しました。
 
この愛すべきオンボロ物件は、いつだってどこか治さなくてはいけなくて、
悪いところを見つけては治し、補修して。
雨漏りし、浸水し、風に飛ばされ・・・・
東京に居ながらにして、まるでサバイバルのような日々。笑
 
楽しいことと辛かったこと。
無理やり2つに分けて天秤に載せたとしたら、もしかしたら「辛かった方」に傾くかもしれないけれど、
それでも、誰かに「この10年はどうでしたか?」と尋ねられれば、僕は迷わず「本当に楽しかった!」と答えます。
 
人間って不思議ですね。
数字に左右され、時に翻弄されながらも、数字では測れない「感情」を持って生きている。
 
記録よりも、記憶。
最近はそんなふうに思うことが増えました。
 
若かりし20代の日々は、実態のない「世間」や「世の中」に認められたくて、とにかく数字や記録を求め、追いかける日々だったように思います。
それは「お金」だったり、「周りからの評価」であったり。
求めるのは「数字」。目はいつも「外側」に向いていて。
 
30代になり、ようやくまともに生きるための「お金」と、デザインの仕事で食べていくための「評価」を得て、
20代の時に必死で得ようと努力した2つのモノをなんとなくでも手にした時に、心を包み込んだのは「達成感」や「満足感」ではなく、「不安感」でした。
 
20代の僕は、とにかく自分に「自信」がなかったんですね。
自分に「自信」を持てなかったから、「お金」や「世間からの評価」を手にすれば、きっと欲しかった「自信」を持てるはず・・・
そう思って、一生懸命に努力して、その2つを手にしてみたけれど、結局、「お金」も「評価」も、自信なんてくれなかった。
 
だって、お金があればすごいデザイナーになれるわけじゃない。発想や技術、そういった「デザインする力」はゲームのようにお金で買い、手に入れるものではないから。
プロとして生きていく上で、「他人の評価」というものはもちろん大切なものだけれど、「他人の評価」と「自分の評価」は必ずしも同じではないから。
「お金」や「他人の評価」に見合う自分の「中身」がなければ、自信なんて付くわけないんだと・・・・
 
本当の自分の気持ちは、絶対に自分にしかわからない。
 
そんなきっかけから、外ばかり見ていた自分の目は、次第に「自分の内側」を見るようになりました。
 
30代になると、なんとなく「自分自身のこと」がよくわかるようになってきます。
昔は調子良く「もしかして俺は天才かも」とか「才能あるかも」なんて思っていたけれど、実はそうじゃないと気付かされたり。
「本気を出せばもしかして・・・」なんて思っていても、実際に本気を出してみて「自分の限界」を知ることもしばしば・・・・
 
さまざまな経験をする中で、自分の中の「もしかして」が1つ1つ消されていって、次第に自分の本当の「輪郭」が見えてくる・・・・
 
そんなふうに書くと、「本当の自分を見つめる」ということが、なんだかすごくネガティブなイメージに見えてしまうかもしれないけれど、実際はそうじゃない。
 
「もしかして・・・」という淡い期待を1つ1つ消していった先に浮かび上がってくるリアルな自分自身の姿。
 
でも、自分の悪いところを見て、落ち込む必要なんてない。
悪いところがハッキリすれば、それはこのお店と同じように、1つ1つコツコツと治し、補修していけばいいこと。
 
同時に良い部分だって見えてくる。そんなところを愛し、楽しんで伸ばしていけばもっと良くなっていく。
 
人生の地図の中で、今、自分が、どの地点にいるのか?
それをハッキリさせれば、自ずとそこからのルートは見えてくる。
そして「その場所」から、目指す方向へ向けて一歩一歩進めばいいだけ・・・
 
お店にも自分にも、目指す「理想の姿=ゴール」がおぼろげながらもあって、その理想のカタチを目指すために、どこかで一度、はっきりとした「自分自身の現状把握」が必要だったのかもしれない。
 
それが僕の30代だったような・・・・
 
でも、「本来の自分」というのが、自分自身でハッキリと認識できたことで、変に自分に失望することも、過度な期待をすることもなくなりました。
そんな自分を理解した上で、目指す目標に向かって、悪いところは1つ1つ、コツコツと治し、改善していけばいい。
どこを伸ばし、どこを変えていくべきなのか?
変えれない部分は受け入れ、変えていけるものは全力で。
そんなふうに思うようになりました。
相変わらず大した自信はないけれど、おかげで昔のように自分を嫌うこともなくなりました。
 
自分のことを真に理解できるのは、どうやったって「自分」だけ。
生まれてから死ぬまで、何があろうと一緒に居続けるのが「自分」という人間だから。
だからもう、「くされ縁」だと諦めて、自分をよく見つめ、理解し、褒めて叱って、ケツを叩いて・・・・
まるで2人で1人・・・そんな感覚。
おかげで、どうしようもない自分も、少しは愛せるようになりました。
 
自分のことを真に理解できるのは、どうやったって「自分」だけ。
言葉だけを見れば、それはすごく「孤独感」が漂うけれど、そんなことはない。
全てを理解できることなんてないとわかった上で、それでも「理解しよう」と思える人、思ってくれる人。
そんな人の存在を今までよりも大切に思うようになりました。だってそれはすごくありがたいこと。
 
自分のことを真に理解できるのは、どうやったって「自分」だけ。
だからこそ、自分の「苦手」をはっきりと理解し、それを素直に伝えて、それが「得意」な人に渡せるようになりました。
それによって自分はより「得意なこと、好きなこと」に打ち込む時間をもらえるようになりました。
それによって同時に、その相手に「感謝」する気持ちも芽生えました。
 
自分自身を理解することで、「みんなそれぞれ違う」ということもだんだんわかってきました。
そりゃそうだ。よく考えれば、当たり前のことだけれど、今まではわからなかった。
「なんで、俺と同じ考えじゃないんだ?」って腹を立てることも多かったような・・・・
 
一人一人みんな違う。当たり前のこと。
みんな自分と同じなんかじゃない。でも、それが良い。だから良い。
 
だからこそ「チーム」でやる意味がある。
 
「違い」と「共通点」を持って集まる仲間たちと、それぞれを補完し、違いを共有し、吸収し、互いに成長しながら進んでいく。
そんなチームができれば最高です。
 
そんな偉そうなこと言ってたって、最初はやっぱりお互いの「違い」を素直に受け入れられなかった・・・
「どちらが正しいか?」そればかりをぶつけ合って、相手を負かすことしか考えてなかった。
「完璧な人間」なんていないのに、自分は完璧な人間かのように、誰かの失敗を指摘して、責めて。
「失敗したくてする人」なんていないのに、その人にさらに追い打ちをかけて。
「失敗してしまった人の気持ち」を考えることもせず、その経緯に耳を傾けることもなく・・・
 
そのことに気がつく過程で生まれた本当にたくさんの小競り合い、ぶつかり合い、殴り合い・・・・数え上げたらキリがない。
 
「それがもし自分だったら・・・?」
「それを自分がやられたら・・・?」
「もし自分がそんなふうに言われたら・・・?」
 
「いったいどう思う・・・?」
 
そうやって、相手の気持ちを「想像する」ということができるようになるまでに、ほんとうにたくさんの時間が必要でした。
 
 
でも、10年間をふと振り返った時に、心に浮かぶ「良き思い出」は、不思議とそんなシーンばかりのような・・・・おかしなものです。笑
 
天秤の「辛かった方」に載せた思い出の方が「楽しかった思い出」より遥かに多く、「良き思い出」として自分の記憶に強く刻まれているなんて・・・・
 
記録よりも記憶。
そして、その記憶のほとんどは「人と人」から生み出されていて・・・
泣いて笑って喧嘩して・・・・その感情の「振れ幅」の大きさが、そのまま記憶の深さに変わっていく。
人と関わっていくことは、いつもなんだかんだと面倒なことも多いけれど、
それでもやっぱり、その関わりにはいつも、それ以上の喜びや共有できる時間があって、
いざこざや争いを含めて、その「感情の振れ幅」こそが僕の「記憶」であり「良き思い出」であるならば、
この先ももう少し、その「人間関係」ってやつに、一歩足を踏み込んでも良いのかなぁっと、思う今日この頃。
 
「何をやったか」よりも「誰とやったか」。
「結果」よりも、その「過程」で時間を共有した人たちとの「記憶」。
そっちの方が遥かに大切で、楽しくて、味わい深く、最高の酒のツマミに・・・
 
人生が終わる時、思わずクスっと笑ってしまうような記憶がいくつもあればそれが最高です。
 
 
結果だけを必死に追い求めた20代の頃と比べれば、いくぶん成長し、大人に(おっさんに?)なったということですかね。笑
 
 
お店の10年を振り返るつもりが、なぜか自分の人生を振り返ってしまうという・・・・
 
ま、このお店は、僕自身の人生の一部でもありますしね。
 
それほどに、愛してやまないこのオンボロ物件。
 
気持ちも新たに、まだまだ届かぬ自分自身の「理想のお店」を目指して、前進していきたいと思います。
 
ちなみに、僕の人生の目標と、理想のお店像は「自分がカッコイイと思える人間になる」「自分がカッコイイと思えるお店にする」という超曖昧な目標なので・・・・笑
いったいいつになったら達成できるのやら・・・・まさか、10年かかっても辿り着かないとは・・・・
 
ま、スタート地点がダメダメだったからな・・・・
あせらず、騒がず、コツコツいきましょう。
 
 
最後に、
 
長きに渡り、支えていただいた皆さん、遠くまで足を運んでくれる皆さん、本当にありがとうございます。
この先も、どうぞ引き続きよろしくお願いします!
まだまだ成長していこうと思います。
 
そして、雨の日も風の日も、しっかりとお酒や食材を届けてくれる業者さん、配達員の皆さん、本当にありがとうございます。いつも助かってます。
 
そしてそして、表向きは「僕のお店」。でも、実際にお店を「作っている」のはやっぱりスタッフのみんな。
経営者としてはからっきしダメな僕ですが、いつも支えてくれてありがとう。
僕もまだまだ成長します。
お互い励んでいきましょう。そして「良き思い出」を作れたら最高ですね。
 
 
大変に長々と失礼しました・・・・ま、1年に1回くらいは・・・ね。
 
 
そんなこんなで、この1年も張り切っていきましょう!
 
やー!
 
 
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